ストーリー
主人公の毎日は、会社でサラリーマンとして働き、家で一人で漫画を描くというルーティーンな生活をしていた。しかし、ある日を境に彼の周りで起こる奇怪な出来事が次々と現れ始め、その中心に立ち会うこととなる。感染者と化した人々が襲い掛かる、都市が荒れ始める中、主人公と同じく感染者に対抗しつつ生き延びようとする人々の生き様が描かれていく。
印象
本作は、ゾンビものという共通の要素を持ちながらも、それらの映画や作品が持つエンターテインメント性やファンタジー性をすべて排除して描かれている、リアルな人間ドラマだ。主人公やその周りの人物が、感染の危険、食料不足、他人との摩擦など多岐にわたる困難に対しなんとか立ち向かっていく姿は非常にリアルかつ切実であり、非常に共感しやすい。ストーリーは、あくまで人物たちの日常を描くものであり、たとえば感染した人間が人食いとなって大量に活躍するわけでもないので、正直なところ「もっとどんでん返しが来るのでは?」と思っていたが、極端に驚くような展開もないまま、終わりを迎える。それでも、リアルに「このままではヤバイ!」と思い込ませる展開がたくさんあり、期待通りにこちらを煽り立てることに成功している。
まとめ
『アイアムアヒーロー』は、最近のゾンビものにありがちなスリルや興奮を楽しむという単純な楽しさを知らしめてくれる作品ではなく、登場人物たちの世界がどのように変化していくかを真剣に描いている。つまり、観る人によっては場合によっては陳腐に感じるかもしれないし、興奮しないかもしれないが、登場人物たちが抱える問題や抗う現実の困難に対し、見る人が「じゃあ、自分ならこうしよう」と考えてしまうほど、それらの生活をリアルに描いているという点は光り輝いている。
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