『キングダム』- 『天下一の大戦略』は日本が生んだ金字塔

はじめに

　漫画『キングダム』は、石田衣良による同名小説を原作とした、日本の漫画作品である。戦乱期の中国を舞台に、少年・信と彼に仕える戦士たちが、王都をめぐって戦いを繰り広げる姿が描かれる。本作は、2006年から週刊ヤングジャンプで連載が始まり、アニメ化、実写映画化もされ、大きな話題を呼んでいる。今回は、本作についてのレビューを行っていきたいと思う。

ストーリーと魅力

　本作『キングダム』は、戦国時代の中国をベースにした架空の時代を舞台に描かれる。主人公・信は、幼少期の農民としての生活を送っていたが、偶然出会った将軍・王騎のもと、彼の夢を実現するため、王国をめぐる戦いに身を投じることになる。信は、己の才能を開花させつつ、自分を信じ、友となった兄弟とともに、次々と現れる強敵と戦うことになる。戦闘シーン自体は迫力あるものが多いが、戦術・戦略・歴史の知識が織り込まれていることが特徴である。また、主人公たち以外にも、様々なキャラクターが登場し、それぞれに深みのあるストーリーが与えられているのも魅力のひとつだ。

作画と表現力

　作者の原泰久による作画は、見る者にストレスを与えないと同時に、心に残る迫力を持っている。人物や背景など、細かい描写が施され、戦闘シーンの迫力はもちろん、表情など細かい感情の変化もよく表現される。また、フレームごとにパースが変わることによって、緻密な構図で物語を盛り上げている。これらの表現力は、時にはグロテスクな作画やシーンも含むが、それが本来の物語である戦争を描く上では必要不可欠な部分として同作品の美点となっている。

まとめ

　総じて、『キングダム』は、戦国時代の中国を舞台に、有能な武将たちが織りなす戦いのさなかで、主人公・信が成長する姿を描いた作品である。本来なら不適切なグロテスクな表現でも、それが表現力豊かで、物語のリアルさを伝える重要な要素である。読者は、主人公・信がどのように成長していくのかに注目しながら、ストーリーに引き込まれていくことだろう。戦闘シーンだけでなく、戦略や情勢など、歴史的側面にも深く踏み込みながら描かれたストーリーは、多くの読者たちの心を掴んで離さない素晴らしい作品である。