あらすじ
日本の大正時代において、家族を鬼に殺された少年・炭治郎は、妹・禰豆子も人間を襲う鬼にされてしまう。しかし、彼女自身にも人間としての意識が残っていることに気づき、二人は鬼狩りの道を目指すことに。そんな中、数々の鬼狩りの仲間たちと出会い、強敵に立ち向かう姿が描かれる。
レビュー
鬼滅の刃は、現在最も注目されている漫画の一つである。それは、単に美麗なイラストや緻密なストーリー展開だけでなく、物語の奥に秘められた深いテーマ性があるからだと思う。鬼と人という対立概念を中心に、生と死、慈悲と罪悪、家族と友情、そして人間としてのあり方など、多くのテーマが隠し味となっている。
また、作者である吾峠呼世晴氏の精緻な画力も、魅力の一つだ。背景や衣服、武器の細部まで手を抜かず、読者を惹きつける。キャラクターも、それぞれの個性を強く打ち出して作り込まれており、どのキャラクターにも魅力がある。特筆すべきは、主人公炭治郎の成長過程。彼の苦しい過去や、強敵との鬼狩り、仲間たちとの人間関係など、一つひとつに心情描写がしっかりと描かれており、読者の心に深く刻まれる。
ただ、一つだけ気になる点があるとすれば、ときに暴力的な表現が散見されることだろう。主人公たちが戦闘をする際、鬼の殺傷や危険な罠が用いられることが多い。そのため、子どもや心の弱い人には敬遠されるかもしれないが、それでも鬼滅の刃は濃密な物語であることに変わりはない。
まとめ
美麗な絵柄や深いテーマ性、心情描写の丁寧さなど、鬼滅の刃には多くの要素がある。ただ、暴力描写が出てくるため、注意が必要だ。それでも、「鬼」というテーマに興味がある人や、人間ドラマを好む人には、ぜひとも読んでほしい作品である。
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