「鬼滅の刃」－ 人を救えるか、鬼を斬るか？

あらすじ

地獄のような災厄に襲われた日本。森に住む少年・炭治郎は、家族を喰い殺した鬼に対する復讐の旅に出る。彼は鬼狩りの達人・冨岡義勇、鬼の血を駆使する剣士・我妻善逸、そして兄妹として生きる炭治郎と共に、鬼の王・鬼舞辻無惨を倒すため、命がけの戦いを挑んでいく。

感想

「鬼滅の刃」は、人間と鬼、明確な敵対関係が再三描かれながら、それぞれの人間描写に感情移入してしまう不思議な作品だ。例えば、根源としての鬼から派生する鬼たちは、炭治郎が斬りつける時でも「助けて」と叫ぶほどに、人間的な感情が描写されている。一方で、善良な人間キャラクターであるために死亡するキャラクターも多数おり、悲惨なラストを迎えることも多い。

物語全体を通して、鬼もまた、かつては人であり、鬼になった理由や人間性が大きく描かれている。そのせいか、「憎しみに囚われるのは結局自分だ」という言葉が、しばしば物語の中で繰り返され、心に響くことが多い。

また、「剣心」「ルフィ」といった少年漫画とは一線を画する本作は、血まみれの残虐シーンもかなり描写され、直接的な描写を好む人にはたまらない場面も多いだろう。

総合評価としては、独自の世界観と深みのある人物描写に注目したい作品。「鬼滅の刃」というタイトルが示す通り、どちらが正義か、どちらを斬るべきかは一筋縄ではいかない。読み終わった後に、考えさせられる一冊である。

記事にはこのようにタグを付けて書くと、見やすくなります。